首相側が大統領側を大きくリード
ルーマニアで9日、上下両院選挙が行われた。出口調査によると、ヴィクトル・ポンタ(Victor Ponta)首相率いる中道左派の政党連合「社会自由同盟」が56.8~58.3%の得票率で勝利した。
一方でポンタ首相と対立するトラヤン・バセスク(Traian Basescu)大統領に近い中道右派の政党連合「ルーマニア右派同盟」は、18~19.6%の得票率でポンタ首相陣営に大きくリードされた。ツァイト誌オンライン版が10日、報じた。
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Victor Ponta/by lapopistelli緊縮財政をめぐる対立
2012年5月、ポンタ政権が発足して以来、バセスク大統領とは緊縮財政をめぐって対立が激しくなっていた。今年7月29日、バセスク大統領の罷免を問う国民投票を実施、国民の大半が賛成票を投じたにもかかわらず、国民投票成立に必要な50%に届かず、追い落としに失敗したいきさつがある。
バセスク大統領は、大統領の権限を利用して、ポンタ首相以外の人物を首相に指名することを明らかにした。
これに対抗するかのように、ポンタ首相側は、来年度における憲法改正と行政改革の意向を示している。「有権者の意見がより取り入れられやすいようにするための憲法改正」であるという。明らかに大統領の権限を制限する計画のように思われる。
政治の混乱が懸念
ルーマニアは2007年、欧州連合(EU)に加盟、ヨーロッパでもっとも貧しい国の一つである。昨年の平均月収は350ユーロ(約3万7000円)だった。
低迷する経済をよそに争いが激化し、新政権の発足の遅れなど政治の混乱が懸念される。
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ツァイト誌(Zeit Online)
http://www.zeit.de/politik/ausland/