死刑執行の4分の3がイラン、イラク、サウジアラビアで
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは10日、「2012年の世界の死刑執行報告書」を発表した。報告書によると、2012年の死刑執行数は前年とあまり変わらず、21カ国で少なくとも682人の死刑が執行された。新たに死刑判決を受けたのは58カ国で約200人増の1722人。
全世界の死刑執行数の4分の3がイラン、イラク、サウジアラビアで行われた。イランが最も多く、少なくとも314人、イラクは68人増の、少なくとも129人、サウジアラビアは少なくとも79人。
次いで米国が43人、イエメン28人。日本は7人だった。
中国の死刑執行数、毎年1000人以上
ただ、イランなどとともに「ワースト5」に挙げられる中国が執行数を公表していないため、実際の執行人数は大幅に上回るとみられる。中国は秘密保持のため、2009年以降、死刑執行数を公表していない。
アムネスティの推測によると、中国では毎年1000人以上が死刑執行されているとみている。死刑執行が再開された国は、ボツワナ、ガンビア、インド、日本、パキスタンである。
ガンビアや北朝鮮、パレスチナ自治区では、「国家に対する犯罪」のため死刑判決がくだされている。また、イランでは「不倫」や「同性愛」、「宗教的な犯罪」を理由に、パキスタンでは「神に対する冒とく」、ケニアでは「強盗」、中国では「経済犯罪」などで死刑判決を受けた人がいる。
ラトビア、米コネチカット州は死刑を廃止
一方で、死刑廃止に向けた傾向も続いており、例えば、ラトビアや米国のコネチカット州(米国で死刑を廃止した17番目の州)で死刑が廃止された。シンガポールでは、死刑が中断されており、ベトナムでは死刑が執行されなかった。ガーナは廃止を検討している。
アムネスティによると、世界中で140カ国が、法律もしくは実際に死刑を廃止しているという。
アムネスティ・インターナショナルのプレスリリース
http://www.amnesty.org/en/news/アムネスティ・インターナショナルの報告書(PDF)
http://www.amnesty.org/sites/impact.amnesty.org/死刑に関する報告書のインフォグラフィック(PDF)
http://www.amnesty.org/sites/impact.amnesty.org/