「ネット投票」の前に考えたいことは?
独立行政法人情報処理推進機構(以下、IPA)は、2013年3月18日、スマートテレビの製品開発におけるぜい弱性低減のための対策および課題などをレポートにまとめ、公開しました。
今回、同機構が実施した調査では、11種の“ファジング”ツールを用いて、スマートテレビ4機種(日本企業の製品2機種、海外企業の製品2機種)の「6種の機能」に対してテストを行い、10件のぜい弱性を検出したというものです。このぜい弱性を悪用されてしまうと、ネットワークから「スマートテレビが強制的に再起動されてしまう」可能性があり、最悪の場合「スマートテレビ上で任意のコードを実行されてしまう」恐れがあるともいわれています。
ちなみに、「ファジング」は、製品などに何万種類もの問題を起こしそうなデータ(例えば、極端に長い文字列など)を送り込み、製品の動作状態(例えば、製品が異常終了するなど)からバグやぜい弱性を発見する技術(テスト)のことです。
安易な「投票」機能の流用に注意
また、スマートテレビの「6種の機能」とは、「有線LAN機能(有線LANを通じてネットワークに接続する機能)」、「無線LAN機能(無線LANを通じてネットワークに接続する機能)」、「機器連携機能(ほかの機器と連携する機能)」、「Bluetooth通信機能(Bluetoothを使ってリモコンなどを制御する機能)」、「ウェブブラウザー機能(ウェブサイトを閲覧する機能)」、「メディア再生機能(画像や動画を再生する機能)」といったものです。
今回、調査が行われたスマートテレビを用いた場合、「投票」を行うことができます。現状では、テレビ番組内でのクイズへの回答やアンケートのような簡易なものですが、より多くの「投票行動」を促すことを考えるなら、インターネットにアクセスできる端末であれば、何でもよいということになりはしないでしょうか。スマートテレビもその一つ。「ネット投票」の検討に入る際には、“あるから使う”といった安易な解決策は、選択すべきではないでしょうね。
IPA プレスリリース
http://www.ipa.go.jp/press/