「選挙期間」を重視、発信者の照会リミットを短縮
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会は、2013年5月8日、『名誉毀損・プライバシー関連ガイドライン別冊「公職の候補者等に係る特例」に関する対応手引き』を策定し、同協議会のホームページ上で公表しています。
「プロバイダ責任制限法」は、インターネットでプライバシーや著作権の侵害があったときに、プロバイダーが負う損害賠償責任の範囲や、情報発信者の情報の開示を請求する権利を定めた法律です。
2002年5月に施行されたこの法律では、インターネットや携帯電話の掲示板などで、誹謗(ひぼう)中傷を受けたり、個人情報の掲載など個人の権利が侵害されたりした場合、被害者側からの要請で、プロバイダー事業者や掲示板管理者は、発信者への削除の同意を照会した後、情報を削除できますが、その際、発信者・被害者双方からの損害賠償に関して、賠償責任を負わなくてもよいとされています。
同協議会は、通信関連団体や著作権・商標権関連の団体などで構成されている組織で、これまでにも、「プロバイダ責任制限法」にもとづく権利侵害への対応について、関係ガイドラインを策定・公表してきましたが、今回、同法に「特例(発信者の同意を照会する期間が7日から2日に短縮・発信者のメールアドレスが表示義務違反である場合、情報を削除しても賠償責任を負わない)」が盛り込まれたことから、その対応策を補足、変更、留意すべき事項を取りまとめたそうです。
ただし、この「特例」については、情報が選挙運動の期間中に頒布されたもので、被害者が公職の候補者であるなど、複数の確認事項を満たしておく必要があります。
フォーマットの統一で、確認も迅速に
同別冊のボリュームは、17ページとなっており、対応策(対応手順)以外にも、後半部分には、参考書式として、被害の通知書や送信防止措置の依頼書、照会手続きメールの文例などが掲載されています。
選挙に限らず、一般企業においても、予防に重点を置くあまり、事後処理の対応に手間取り、結果的に、企業としての信頼を失うケースも少なくありません。解禁後の国政選挙を2カ月後に控えて、実際にどういった行為が繰り広げられるかは、予測しづらいようですが、今回のように、被害を受けた後の事後処理に関して、一定の配慮がなされることは、少なくとも評価に値する動きなのでしょう。
プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会 プレスリリース
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