「大英帝国」の気概を再び
英イングランド銀行(中央銀行)は、現地時間の2013年4月26日、次期紙幣の「顔」にチャーチル英国元首相を採用すると発表しました。
今回のプランは、2016年中に発行が予定されている5ポンド紙幣に関するもので、1953年に受賞したノーベル文学賞のメダル画像と、テムズ川南岸のサウスバンクから、エリザベスタワー(旧ビッグベン)とウェストミンスター寺院を望む風景とともに、1941年に米国で撮影されたチャーチル氏の肖像に、1940年5月13日の首相就任演説の一節“I have nothing to offer but blood, toil, tears and sweat.(私は、血、労苦、涙、そして汗以外の何も提供するものはない。)”が添えられていて、大時計が指しているのも、まさしくその演説を行った時刻である3時といった構成になっています。
なお、現在の5ポンド紙幣には、19世紀に活躍した女性人権活動家エリザベス・フライの肖像が使われていますが、日本とは異なり、英国の紙幣の肖像に政治家の顔が採用されるのは、極めて珍しいそうです。
政治家の枠を超え、尊敬するリーダーとしての評価も
ちなみに、先日、英国のコンサルティング会社であるPwC(プライスウォーターハウスクーパース)が公表した「第16回世界CEO意識調査」によると、世界の企業のCEO約1,400人が選ぶ“最も尊敬するリーダー”の第1位が、サー・ウィンストン・チャーチルとなりました(ちなみに、2位は、スティーブ・ジョブズ、3位は、マハトマ・ガンジーです)。
また、この調査では、それぞれのリーダーをタイプ別に分類もしており、チャーチルは、米国元大統領であるエーブラハム・リンカーン(6位)と並んで「逆境克服型」とされています。期せずして、歴史上の人物にスポットライトが当てられたことからも、さまざまな困難に直面する現代社会において、“政治家”が登場すべき場面は、増えることはあっても、決して減ることはなさそうです。
英イングランド銀行 プレスリリース
http://www.bankofengland.co.uk/banknotes/