アベノミクスの「余波」?「本丸」?
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2013年6月7日、年金積立金の管理及び運用にかかる、中期計画の変更について、厚生労働大臣の認可を受けたことを公表しています。
ちなみに、独立行政法人は、独立行政法人通則法(平成 11 年法律第 103 号)に基づき、中期計画の変更をしようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならず、主務大臣が認可しようとするときは、あらかじめ独立行政法人評価委員会の意見を聴くとともに、財務大臣に協議しなければならないこととされています。
今回の取り組みには、去る2012年10月、会計検査院による、「暫定ポートフォリオが、安全、効率的かつ確実かなどについて、中期目標期間中に定期的に検証することを検討する」との指摘があったことから、これを受けて、厚生労働省が、「基本ポートフォリオについて定期的に検証を行い、必要に応じ見直すよう」との要請を同行政法人に行ったという経緯があります。
その後、同独立行政法人では、厚生労働大臣から任命された金融・経済の専門家からなる運用委員会で審議を行い、検証を行った結果、「基本ポートフォリオの変更が必要」との結論を得たそうです。
なお、基本ポートフォリオの見直しについては、中期目標において、「急激な市場の変動があった場合には、中期目標期間中であっても、必要に応じて見直しの検討を行うこと」とされています。
国内債券7%の多くが、外国株債権に
今回の検証では、新たなリスク・相関係数のもとで、従前の基本ポートフォリオと見直し候補となるポートフォリオについて、25年後の損失予測額をシミュレーションするなどした結果、基本ポートフォリオを、従来の「国内債券約67%、国内株式約11%、外国債券約8%、外国株式約9%、短期資産5%」から「国内債券約60%、国内株式約12%、外国債券約11%、外国株式約12%、短期資産5%」への変更が適当との結論を得たとのことです。
同独立行政法人は、“厚生年金と国民年金の給付の財源となる年金積立金をお預かりして管理・運用を行い、その収益を国に納めることにより、年金制度の運営の安定に貢献する”ことを使命としている団体です。また、「基本ポートフォリオ」とは、運用する資産の構成割合のことで、長期的な運用の基本となるものです。
同独立行政法人の直近の実績をみると、平成24年度第3四半期末運用資産額は、111兆9,296億円となっています。運用と一言で片づけるには、この「年金」は、巨額な規模といえますが、それだけの「資産」にしては、今回の構成割合の変動は、いささかダイナミック過ぎるようにも見受けられます。国内債券から外国債券・株式へのシフトが、「積立金」の運用に果たして適当かどうか、改めて考えてみる必要がありそうです。
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) プレスリリース
http://www.gpif.go.jp/topics/