会計検査院が決算検査報告書を提出
2011年11月7日、会計検査院は野田首相に国の2010年度の決算検査報告書を提出した。この決算検査報告書は税金の無駄遣いをはじめとする不適切な経理処理を指摘するものである。
2010年度の決算検査報告書によれば、会計検査院が無駄遣いなどと支出面で指摘した金額は約4281億円、徴収漏れなどと収入面で指摘した金額が約102億円であった。これは、2009年度の約1兆7904億円に次いで過去2番目に大きい数字だ。その一方で会計検査院が不適切な経理処理を指摘した件数は2009年度の986件を大きく下回った568件であった。
省庁別の結果
会計検査院はこの報告書を作成するにあたり、中央省庁などを約2,900ヶ所を実地調査した。ただし、今年度は3月11日に東日本大震災が発生したため、被災地における実地検査は見送った。また、国の補助金を受け取っている約3,800団体も調べた。
会計検査院がこのような調査を行った結果、不適切な経理処理があると指摘された金額が一番多かった省庁は国土交通省で約727億円だった。次いで経済産業省が約661億円、財務省が約654億円、文部科学省が約629億円、厚生労働省が約512億円、農林水産省が約463億円となっている。
これら6つの省庁に次いで不適切な経理処理の金額が多かったのは東京大学で約154億円であったほか、日本原子力研究開発機構も約126億円の不適切な経理処理の指摘を受けている。
そして今回の調査では不適切な経理処置とは認定されなかったが、会計検査院は、リーマンショック後の2008年度と2009年度の補正予算で、国が経済対策として各都道府県に設置した基金に総額約2兆円の残金がある旨も指摘した。
会計検査院は、2011年度は東日本大震災の復旧・復興事業を重点的に調べる方針を打ち出しているが、このように国民に明らかにしてもらえるのは非常にありがたいことだ。今回指摘された省庁や団体のみならず、何かの予算をもらっている会社は、余剰金をどのような形で使っていくのかをしっかり考えていただきたい。
平成22年度決算検査報告の概要
http://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary22/index.html